お寿司屋さんなどで「おあいそ~!」と言っているのを聞いたことがありますか?
自分では使わないけど、おあいそって何だろう?と気になってしまいます。
「お会計してください。」とは意味が違うのでしょうか。
『おあいその意味と語源、正しい使い方を知っていますか?』では、ちょっと聞きなれないこの言葉のルーツを辿ってみたいと思います。
こういう昔からある日本ならではの言葉ってたくさんありますよね。
自分たちが生きている今までのつながりを考えてみるのもいいかもしれません。
おあいその意味
【お世辞】
調べてみて一番に出てきたのがこの答え。全く知りませんでした。
漢字に直してみるとわかりやすいのですが、愛想と書きます。
愛想がいいの愛想ですね。
愛想とは
- 人に接するときの態度。人に寄せる、愛情・好意のことで、人当たりのいい態度のことを言います。
おあいその語源
では、なぜお会計時に使われるようになったのでしょうか。
お店側の人が、お勘定を催促する際に使っていた言葉
お店を贔屓(ひいき)にしてくれているのに、お金を払って帰れなんて言って申し訳ない。
『愛想』のないことを言ってごめんなさい。
という意味で、お客様に使い始まったのが『おあいそ』の始まりなんです。
おあいその語源の語源
- なんと歌舞伎用語の愛想尽かしから来ています。
歌舞伎の中で、去り際にわざと相手を傷つけるような言葉や態度をとることを愛想尽かしと言うのだそうです。
本心とは裏腹に、相手との縁を切るために使う言葉。
有名な演目だと「籠釣瓶花街酔醒(かごのつるべさとのえいざめ)」があります。
事情があり、会いたいけれど来てほしくない人に対して、
「つくづくいやになりんした。」と伝えるのですが、
「(あなたのことが)つくづく嫌になった。」言葉通り伝わる相手役の心の傷みと、
「(自分のことが)つくづく嫌になった。」本心と状況を把握している舞台を見ている人の憐みで、なんとも言えない空気になるのだそう。
現代で言えば、好きな人に「あなたのことは好きじゃない…」と言わなければいけない。というような場面でしょうか。
お店の人があいさつ代わりに使っていた言葉
話が飛んでしまいましたが、あいさつに付け加える「いい天気ですね」のように、
「ありがとうございました」に当たり前に付いていたのが「愛想尽かしですが…」だったのだそうです。
本来、お客側が使う言葉ではなく、お店側が使っていた言葉なのですが、
当時、当たり前にお会計時に言われていた愛想尽かしを、お客がお会計を催促する際に、「あいそ(尽かし)お願いします。」という風に使い始まったのではないかと言われています。
その愛想尽かしが、短くなって『あいそ』となり、お店側への敬意で「お」が付いて、『おあいそ』になったのでしょう。
おあいその正しい使い方
さて、意味と語源を理解したところで疑問が生じると思います。
お客さんが「おあいそ~!」と言うのは、おかしいのでは?と思いますよね。
おあいその他にも、昔ながらの粋な言葉はたくさんありますが
その言葉が生まれた時代から生きている人がほとんどいないので、現代風に解釈するしかありません。
そうしてみると、使い方もわかってくると思います。
おあいそとは
- 歌舞伎用語「愛想尽かし」が語源
- お店の人が「愛想尽かしですが…」と会計時に使っていた
- 愛想に丁寧語の御がついて『御愛想』
もともと、お店側の人が気を使って愛想尽かしですが…と心遣いをしたのが始まりです。
そして自分がする行動に対して、丁寧語の御が付くのはおかしいですね。
ということは、お会計時に「おあいそ」と使うのは、間違いである。
という結論になってしまいます。
恐らく、そう思っている人がほとんどだと思います。
しかし私は、昔ながらの言葉遣いには色々な背景があると考えています。
その時代の人が、その時代に流行った言葉を様々な考えて組み込んで作られたのではないかと、そう思います。
『おあいそ』に関して考えれば、そもそも語源が歌舞伎用語ということで、なかなか粋な使い方をされていたのだと思いますが、馴染みのお客さんがおふざけで言い始めたのではないかとも思うのです。
毎日のように通う小料理屋の店主に、「毎日ご馳走様。愛想尽かしですが…なんて言う間柄でもないだろう?」という親しみを込めて始まったのではないか…なんて。
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まとめ
おあいその意味や語源から、時代がわかりますね。
その当時の人のやりとりが目に浮かぶようです。
現代風に考えれば、会計時のおあいそは間違い。
ですが、目に見える文字の羅列だけで決めつけてしまうのも寂しい気がしますが、もし間違って使っている方がまわりにいたらそっと正しい意味や使い方を教えてあげてくださいね。